September / October Edition
駐在
Sep / Oct
広報委員会
新人駐在員のみなさんへ!「W-9」と「W-8BEN」をざっくり説明
U.S. Bank
Program Manager
水戸 英輔
はじめまして!JCCNC広報委員のオールドルーキー・ミト@U.S. Bankです!今回から始まる新コーナー「駐在員向けマメ知識(仮称)」の記念すべき第一回は、みなさんにとって重要だけど忘れられがちな「W-9」と「W-8BEN」について、ざっくりとお話しします。さて、この「W-8BEN」と「W-9」というのは簡単に言えば、アメリカにおける税務上の居住者か非居住者かを、銀行やその他の金融機関を通じて、IRS(米国歳入庁)に報告するためのフォームです。米国駐在という背景を踏まえると、銀行から提出を求められることが多いと思います。
忙しい日々の中に「提出依頼」
そもそも、「アメリカ駐在」と言えばなんだか聞こえはいいですが、実際はアメリカへの一定期間の移住ですよね。特に家族帯同となると、住居やら子供の学校関係やらでやることが2倍も3倍も増えて、気づけば多忙を極める毎日。「家族を受け入れる環境を整えねば!」と奔走する中、「やばい、学校関係の書類提出が終わってない!」と気づいたりして、もう大変。そんな中、給与口座を開設した銀行から「ダブリューなんちゃらを提出せよ」と言われても、「英語ばっかりの書類だし、難しそうだから後回しに…」なんて思ってませんか?

銀行から求められる「W-8BEN」と「W-9」ってなに?
というわけで、駐在としてアメリカに着任して給与口座を開設するとき、銀行から「W-9」や「W-8BEN」を提出するよう言われることがあります。このフォーム、初見だと「?」になる可能性が高いのですが、「後でいいや」と放っておくと、後々厄介なことになるかもしれません。簡単に説明すると…
「W-9」はアメリカの税務上の居住者向け:「W-9」は、「ワタクシはアメリカに住んで所得を得ています!」と証明するための書類です。すでにSSN(ソーシャルセキュリティナンバー)を持っているなら、銀行口座を開設する際に「W-9」を提出することを求められると思います。このフォームを提出することで、IRSを通じてアメリカ政府にあなたの収入が報告され、税金の処理がスムーズに進みます。特に、銀行で得る利息収入についても、このW-9を通じて適切に税務処理が行われます。
「W-8BEN」はアメリカの税務上の非居住者向け:「W-8BEN」は、「ワタクシはアメリカの税務上は居住者じゃないですよ」と証明するための書類です。まだSSNを持っていない場合や、アメリカで短期滞在している場合、またはアメリカ国外に居住している場合にはこちらを提出することが求められます。このフォームを提出することで、アメリカで得た利息収入やその他の所得にかかる税金が軽減されることがあります。
「え、オイラの銀行のチェッキング口座にお給料が入っているだけなのに、なんで利息収入(=所得)が?」と思うかもしれませんが、最近のアメリカの銀行ではチェッキング口座でも僅かながら利息がつく設計になっていることが多いんです。そしてその僅かな利息ももちろん所得と見做されますし、その後、定期預金等も作成する可能性もあることから銀行としてはキチンと口座保有者が米国での税務上の居住者なのか非居住者なのか、しっかり把握してIRSに報告することが重要になっており、それが故にこれらのフォームの提出が求められるのです。
何となく分かった、が、どっちを提出すれば?
アメリカ着任済でSSNを持っているなら「W-9」の提出、まだSSNを持っていない場合は「W-8BEN」の提出が基本パターンと思われます。まずは、銀行口座の開設時に求められることが殆どなので、しっかりと対応しましょう。また、口座開設時はSSN取得前であることから「W-8BEN」を提出したとしても、その後、SSNを取得した時点で「W-9」の提出が必要になってきます。このような2段階パターンも発生するので、注意しましょう。自身がどのフォームを提出しているのかについては、銀行に確認すれば教えてくれると思います。
帰国後もW-8BENを提出することが?
さらに気をつけてほしいのは帰国後です。日本に戻った後も、アメリカで開設した銀行口座や投資口座を維持する場合、W-8BENの提出が必要になることがあります。これを忘れると、IRSからすると「貴君はW-9ステータスのままだから課税いたしやす」となり、不要に税金が引かれる可能性があるので、しっかり確認しておきましょう。
迷ったら、まずは、ネットで調べる、わからなかったら専門家である税理士に相談を
インターネットで調べると出てくる出てくる、いろんな解説。そう、それだけややこしくてわかりにくいのが「W-9」と「W-8BEN」なのかもしれません。ネット検索して、それでもわからなかったら勤務先でお世話になっている税理士さんに相談するのがベストです。なぜかというと銀行に聞いても、「それはちょっと教えられません…」と言われることが多いと思いますので。専門家のアドバイスをもらって、しっかり対応しましょう!
こんな感じで、基礎を押さえて、安心してアメリカでの駐在生活を楽しんでくださいね!次回もお楽しみに!
オールドルーキー・ミト@U.S. Bank

総領事館より