JCCNC NEWS
2025 July/August Edition
Consulate General of Japan
Jul / Aug
練習船「いつくしま」とサンフランシスコ
在サンフランシスコ日本国総領事館
経済班・広報文化班
橘 由祐(海上保安庁からの出向)
■自己紹介
はじめまして。海上保安庁から出向し、今年の3月から勤務しております橘と申します。この度、寄稿の機会をいただきましたので、海上保安庁の教育機関のひとつである海上保安大学校の練習船「いつくしま」のサンフランシスコ入港についてご紹介させていただきたいと思います。
■海上保安大学校「練習船いつくしま」
海上保安庁の仕事を少し硬い言葉で表現すると「海上の安全及び治安の確保を図ること」ですが、一般的には「海の警察・消防」と説明されることが多くあります。この表現はまさに実態を捉えており、ひとたび海難事故が発生すれば巡視船や航空機で急行して救助活動を行い、密漁や密輸などの海上犯罪に対しては事件捜査も行います。また、船の交通量が多い東京湾や大阪湾などで交通管制を行い、海上交通の安全を守ることも海上保安庁の重要な任務です。これらはあくまで一例ですが、この他にも、海で起きるあらゆる事象に対応しています。
そんな「海のプロフェッショナル」である海上保安官になるルートの一つとして、海上保安大学校という教育機関(広島県呉市)があります。ここは全寮制の教育機関で、幹部海上保安官として必要な専門知識や特殊技能を習得するためのカリキュラムが組まれており、4年間のカリキュラムを終えて卒業した後、最後の仕上げとして練習船「いつくしま」(総トン数5,500トン、全長134メートル)での遠洋航海実習を行います。
■荒波を越えて育む、精神力・実践力・統率力と国際感覚
この実習では、太平洋をはじめとする外洋航海を通じて船の運航技術や各種訓練による精神力・実践力・統率力を身につけるとともに、世界各国の港に寄港して現地の海上保安機関や地域の方々との交流を通じて国際感覚を養います。言葉で言うとサラッとしているのですが、実際のところは非常に大変です。5,500トンもの大きな船であっても太平洋を横断するというのは並大抵なことではなく、荒波に大きく揺られ、大自然の猛威と闘いながらも懸命に実習に励んでいます。
■寄港地サンフランシスコが持つ「特別な意味」
そんな彼らの遠洋航海において、サンフランシスコはとりわけ特別な意味を持つ地です。歴史を遡れば、1860年に勝海舟らが「咸臨丸」で太平洋を横断し、日本の船として初めて到達した日本の近代海洋史の原点とも言える地であり、さらに現在においては、海の安全を共に支える強力なパートナーである米国沿岸警備隊(USCG)の重要拠点がある場所でもあります。
このような歴史と最前線の国際連携を肌で学べる絶好の舞台「サンフランシスコ港」に、今年も5月24日から28日までの5日間入港し、ベイブリッジのふもとにある「Pier 30/32」に停泊いたしました。
■滞在中の暖かいご支援への感謝
入港直後の歓迎式典では、多くの関係者の皆様に盛大にお迎えいただきました。滞在中は、米国沿岸警備隊の施設見学や職員との交流、さらにはMIS歴史学習センター(Military Intelligence Service Historic Learning Center)での見学を通じた歴史学習、船上レセプションの開催など、公式行事を通じた充実した時間を過ごしました。また、休日には野球観戦や観光地散策など、実習生たちはここでしか学べない多面的な経験を貪欲に吸収できたのではないかと思います。
温かいご支援をいただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
また来年もこの美しい港に入港する「かも」しれません。その際はぜひ温かくお迎えいただければ幸いです。
実習中の様子などは以下リンクからご確認いただけます。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/topics/r8itsukushima.html



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