2025 Nov / Dec Edition
Consulate General of Japan
Nov / Dec
姉妹都市のススメ
在サンフランシスコ日本国総領事館
政務班
黒岩 巧充 (総務省から出向)
◆はじめに◆
お初にお目にかかります。わたくし、不思議な縁をもちまして、総務省から総領事館に参りました、黒岩と申します。当館では政務・姉妹都市を担当し、日頃は政治、政治で暮らしております。
そんな領事館のわたくしが今回この場をお借りいたしまして皆さんにお伝えしたいことは、まったく政治とかかわりなく、本稿タイトルにもありますとおり、ひとえに姉妹都市についてでございます。遠くふるさとから隔たったカリフォルニアにて日夜奮闘なさっている皆さんにとって、姉妹都市交流は一種の清涼剤となり、はたまた、事業の知名度向上にも資するものと信じております。事業の「じ」の字も知らないひよっこが、以下つらつらと駄文を並べたてますこと、なにとぞご容赦いただきまして、最後までお付き合いいただければと存じます。
◆姉妹都市ってなに?◆
お話を始めます前に、まずお伝えしたいことがございます。姉妹都市とは変幻自在、あるときには友好都市と呼ばれ、またあるときには兄弟都市とも言い、定まった名前をもっておりません。これはひとえに、姉妹都市というものが法律上の定義を欠き、それぞれ自治体の思うままに任されているためです。「法律上」、「自治体」などと、早速頭の固そうな感じがし始めておりますところ、ここまでお読みいただいたのだから、最後までお付き合いいただければありがたく存じます。言ってしまえば、日本とカリフォルニアの街でお互い交流し合おうねという約束をして、人を送り合うことを中心にいろいろ交流して楽しもう、姉妹都市とはそういうものと心得いただければ十分です。
サンノゼ、サンマテオ、サンタクララ、サクラメント、サニーベール、サウサリート、マウンテンビュー、クパチーノ、バークレー、デイリーシティ、フェアフィールド、フォスターシティ、ヘイワード、メンロパーク、ミルピタス、モデスト、ロダイ、モーガンヒル、リバモア。きっとこれらの中に、皆さんが親しみをもって見つける街の名前があるはずです。お仕事場があったり、ご家族が住んでいたり。これらは日本の街と姉妹都市となっている街でございます。サンノゼは岡山市、サクラメントは愛媛県松山市といったように、1つ1つの街が日本のどこかの街と姉妹となっております。それぞれの街で取り組む交流の中身は異なりますが、多くの場合、学生交流プログラムとして年1回相互に学生が訪問し合うとか、周年記念の際に市長が訪問するとか、そのような人的交流を中心として、中には病院の先生同士の交流や、大学間の交流を進めているところもございます。学生訪問であれば、訪問先で1週間程度ホームステイし、地元の学校や市役所を訪問したり、土地の産物を堪能したり、自然のアクティビティを体験したり、友達を作って交流したり、中には、仲良くなって出国の際にラブレターまでもらっちゃったり、そんな交流をすることが多いです。
◆どんな人が運営しているの?◆
ここまでお読みいただいた皆さんの中には、姉妹都市をなんとも捉えどころのない、頼りがいのないものだとお思いの方もいらっしゃると思います。そのとおりです。姉妹都市交流を支えているのは、わたくしのような組織の人間や自動的に配分される予算ではありません。自分がかつて訪日した思い出が忘れられないとか、訪日した自分の子供の笑顔をもっと多くの子供たちに広げたいとか、思いは人それぞれですが、志を抱いて日々交流の試行錯誤を続けていらっしゃる、ボランティアの方々が率いておられます。ボランティアベースであり、街から補助金をもらえることも少ないため、交流を続ける資金に乏しく、多くの姉妹都市交流協会(街ごとにございます)はさまざまなイベントを開催し、自転車操業で頑張っておられます。ある街の姉妹都市協会は、日本とウクライナを姉妹にもち、その両方の関係を続けていくため、寿司とボルシチを楽しむ会を開き、地域の皆さんからのサポートを得られるよう工夫されております。この食べ合わせが合うかどうか、今度わたくしが実食してまいる所存です。
◆どんな関わりができるの?◆
初めて海外を訪れたときの記憶、世界に触れて驚いた経験、異国で助けられたときの感謝、その後も続く友情、皆さんにも覚えがあると思います。姉妹都市は、そんな経験を多くの人に届けるため、交流の糸口を提供します。皆さんが姉妹都市交流と関わるやり方は、千差万別、イベントへの同席から企画者への支援まで、さまざまな形がございます。ボランティアベースの姉妹都市ですから、肩肘張るようなものではなく、姉妹都市交流協会を通して、日本から訪れた訪問団の歓送迎会にふらっと同席することができます。世界に驚き、悩み、笑い、ときには泣く、そんな姿を見られたら、皆さんも日々の苦労を一時忘れ、「あのとき」を思い出し、また明日から頑張ろうと思えるはずです。
各姉妹都市交流協会はより広くサポートを得るため、日夜次のイベントの企画を考えていらっしゃいます。日々事業に邁進する皆さんにおかれても、パブリシティ向上は事業に良い影響を与えますから、彼らとコラボレーションすることで、Win-Winの関係ができるかもしれません。
本来であれば、その交流の様子について、カリフォルニアを訪問して喜ぶ日本の学生諸君や、イベントで太鼓を叩く当地の市長の写真を添付してイメージをもっていただきたいのですが、いかんせん肖像権の規制が厳しく叶いませんので、ここでは当館主催イベントの様子や、2024年9月に開催された日米姉妹都市サミットの様子をお伝えします。



◆おわりに◆
カリフォルニアだけでなく、日本の街が世界中のどこと姉妹都市関係をもっているかはこちらのサイトで検索できます(https://www.clair.or.jp/j/exchange/shimai/search/)。今の御地元だけでなく、実は日本の御地元もあっと驚くところと姉妹都市関係をもっているかもしれません。
各姉妹都市交流協会のイベント等の多くは当館に情報共有されますので、ご関心持っていただけましたら、当館まで詳細をお尋ねいただければと存じます。ご希望の姉妹都市交流協会におつなぎすることができます(ご連絡はこちらまでtakumi.kuroiwa@mofa.go.jp)。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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