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JCCNC NEWS

2025 July/August Edition

Consulate General of Japan

Sep / Oct

 

総領事館にいる専門調査員とは

  

在サンフランシスコ日本国総領事館

広報文化班

菅原由梨子(専門調査員)

◆自己紹介◆

 皆さま初めまして。総領事館で日本語教育を担当しております、専門調査員の菅原と申します。2023年4月に着任し、今年10月離任となってしまうのですが、この度寄稿の機会をいただきましたので、私のバックグラウンドと今まで総領事館で取り組んできたことについてご紹介いたします。

 私は幼少期、父の仕事の関係でニューヨークに移住し、4歳から10歳までマンハッタン郊外で過ごしました。多様な人種や文化に囲まれながら育つ中で、自然と英語を身につけ、バイリンガルとして教育を受けてきました。こうした経験から、教育が人の可能性を広げる力を持つことを早くから実感し、その関心は大学・大学院でも続きました。さらに、国際労働機関(ILO)駐日事務所など複数の国際機関・国際NGOでのインターンシップを経て、現在の総領事館でのポストに至ります。

 将来的には、教育の機会に恵まれない子どもたちが学びを通じて自分の可能性を広げられるよう、国際機関やNGOの現場でより実践的な支援と政策提言の両面に携わりたいと考えています。

先日国連を訪問した際に国連施設内から撮ったブルックリンの風景


◆専門調査員という仕事◆

 さて、総領事館での私の業務を説明する前に、あまり知られていない専門調査員というポストについてご紹介します。専門調査員とは、日本の各在外公館に1~2つほどのポストが設けられた嘱託ポジションで、派遣先公館の一員として、外交活動に資するため、任国・地域の政治、経済、文化等に関する調査・研究に従事し、さらに館務補助を行います。ジョブ型のポジションのため公館によって求められる業務は異なりますが、私はこの公館で日本語教育をメインに状況把握調査やこれをサポートするために企画などを担当しています。このポジションを経て外務省や国連機関で勤務する人は毎年一定数います。


◆総領事館での業務◆

 私の総領事館における主要業務は日本語教育の現状把握及び課題解決です。

 私は、このポジションに着任した時、日本の多くの子どもが英語を第二言語として学んでいるのと同じように、日本語を第二言語として学んでいるアメリカ人がいることに衝撃を受けました。私自身がニューヨーク州で育っているときに、第二言語として提供された言語はスペイン語及びフランス語のみでしたし、他校でも日本語が教えられていることは聞いたことありませんでした。日本人として「なぜ誰が日本語を学ぶのか」ということがとても不思議に感じたのを覚えています。

 しかし、私自身が韓国の文化を好きになって韓国語を学びたいと思ったように、アメリカでは日本の文化、特にアニメや漫画が好きになって日本語を学び始める子は非常に多く、特に新型コロナウィルス感染拡大禍でこの日本のポップカルチャー的なものが流行り、その後日本に観光に行く人が増えたのもあり、日本に対する関心度合いは向上したと感じます。

 このように日本に関心を持ってくれる子どもたちのために、日本語を学ぶ機会をできるだけたくさん提供したいと思う一方で、現状としては、特に近年、AIの発達や他科目の必修化に伴い、外国語教育全般が軽視化され、日本語教育もこの影響を受けています。具体的には予算がカットされたり、必修科目に履修者を取られたりというケースが増え、このような課題に直面した中、総領事館には多数の方から「サポートしてください!」という声が寄せられました。

 ただ、私が着任した時はそもそもどこに日本語を教えている学校があって、それぞれどのような課題を抱えているのか把握できていない状況でした。そこで、北カリフォルニア日本語教師会及びカリフォルニア州日本語教師会と協働で北カリフォルニアにある学校を対象に「どこで誰が教えていて、どのような課題を抱えているのか」という状況調査を実施しました。この状況を明確化することによって、サポートが求められた時に効果的な対策を講じることができます。

 最後に一つお願いがあります。私たちは今後も日本語を学びたい子どもたちにその機会を提供できるよう、できる限りの取り組みを続けていきたいと考えています。しかし、この努力は総領事館だけでは成し得ません。日本語教師やコミュニティの皆さま、そして日系企業の皆さまのお力添えがあって初めて実現できるものです。日本人の学生が英語を学び、その力を活かしたキャリアを描くように、アメリカで日本語を学ぶ学生たちもまた、将来日本語を生かして社会で活躍することを目標としています。そのためには、日系企業で実際に経験を積むことが非常に重要です。日本語はあくまでコミュニケーションの道具であり、それに加えて彼らが社会にどのような付加価値をもたらせるかが鍵となります。そして、その「付加価値」を磨く機会を提供できるのは、やはり当地の日系企業の皆さまのご協力が不可欠です。当館では、JCCNCの皆さまと協力しながら日系企業による学校訪問や企業訪問事業を進めていますが、こうした活動に加えて新たなアイディアやご提案がありましたら、ぜひお聞かせいただければ幸いです。


昨年11月にJCCNCと実施した企業訪問@モンタ・ビスタ高校(クパチーノ市)


◆終わりに◆

  残り1ヶ月弱のSF生活となりましたが、小さい頃育った東海岸と反対岸の西海岸は、気候も年中よく、大自然に囲まれていて「San Francisco=My third home (after Tokyo and New York)」と思えるようになりました。特に最後の一年は、国立公園を巡ってハイキングに行ったり、小学生時代にやっていたサッカーを再スタートしたり、市内でバーホッピングをしたりとかなりローカルになりました。サウスベイにお住まいの方が多いと思いますが、サンフランシスコ市にもぜひたまには足を運んでいただき、市内のHidden Treasuresを探してみてください!


着任して9ヶ月目に初めてゴールデン・ゲート・ブリッジに行った時


©2020 by Japanese Chamber of Commerce of Northern California. 

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