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伝統と信頼を乗せて

ISHI Limousine ゼネラルマネージャーEd Siarot氏インタビュー

ISHI Limousine

General Manager

Ed Siarot

北カリフォルニアの日系ビジネスコミュニティにとって、信頼できる移動手段は欠かせない。空港送迎からワイナリーツアーまで、質の高いサービスを提供してきたのがISHI Limousineだ。50年以上にわたり、地域に根ざした安全・安心の輸送を担ってきた。


今回は、同社ゼネラルマネージャーであり、現在はオーナーへの移行を進めているEd Siarot氏(以下、エド氏)に、会社のビジョンやキャリアの背景、仕事への情熱について話を聞いた。


日系ビジネスを支える足として

ISHI Limousineは、北カリフォルニアで最も歴史ある日系リムジンサービス会社のひとつ。ナパバレー、サクラメント、ヨセミテなどの観光地への送迎にも対応し、顧客の約95%が日本企業や出張者で占められている。


スタッフやドライバーのほとんどが日本語を話し、エド氏は唯一の非日本人スタッフ。言語だけでなく文化的な理解も深く、日系企業からの厚い信頼を得ている。


安心と快適を両立する移動体験

エド氏は「安全であることはもちろん、快適でスムーズな移動を提供することが最も重要」と語る。ISHI Limousineでは、ドライバーが余裕を持って現地に到着し、落ち着いた状態で運転できるような体制を整えている。結果として、乗客は時間通りに目的地へ到着しながらも、落ち着いた空間で安心して過ごせる上質な移動体験を味わえる。


車両は黒のレザーシートを備えたプレミアムモデルで統一されており、見た目の美しさと乗り心地の良さを両立。環境への配慮も進めており、現在はハイブリッド車の導入を検討中。電気自動車についても試験的に運用しているが、長距離移動が多い同社のサービスにはまだ課題が残るため、慎重に判断している。


異文化理解と日本への深い愛着

ハワイ生まれ、カリフォルニア育ちのエド氏は、米海軍勤務を経て日本で12年間生活。建設業に従事しながら、日本語を独学で習得した。地方での仕事を通じて、うなぎ釣りや温泉、日本酒など、日本の文化に深く触れてきた。


「日本の地方文化に触れることで、表面的な理解ではなく、根っこの部分にある価値観を知ることができた」と語る。


運命的な出会いとISHIへの復帰

1993年、ハワイで日本人観光客向けのツアー会社に勤めていたエド氏は、出張中の現在の奥様と出会う。タンタラスの丘での夜景案内がきっかけとなり、半年後には結婚。その後、日本に移住し、建設業に従事。1999年に帰国し、カリフォルニアで公共交通機関の運転に携わった。


ISHI Limousineには2018年にドライバーとして参加。コロナ禍の影響でISHI Limousineを離れていたが、会社の存続を願うスタ ッフの声に応え、ゼネラルマネージャーとして復帰した。


車への情熱とマネジメント哲学

車はエド氏にとって単なる移動手段ではなく、人生を通じた情熱の対象。元整備士としての経験を活かし、毎週すべての車両を自ら点検。車の状態を把握することで、ドライバーにも安心感を与えている。


「ドライバーが落ち着いていれば、お客様も安心できる。それがサービスの本質」と語る。若手ドライバーには「遅れても焦らず、安全運転を」と指導し、経験豊富なベテランドライバーたちとの信頼関係も築いている。


パレード運営から料理まで、多彩な顔

業務の傍ら、エド氏は25年以上にわたり全米各地のパレード運営に携わってきた。サンフランシスコのイタリアンヘリテージパレードや、ハリウッドのホリデーパレードなど、規模も多様。


「整理して全体をまとめるのが好き。人と協力して何かを作り上げる瞬間が何より楽しい」と語る。趣味は1985年製カローラ(ハチロク)の改造と、ハワイ料理・和食づくり。「料理と運転はDNA」と笑う。


地域とのつながりと次のステージ

ISHI Limousineの次なる展望として、エド氏はフェニックス市場への進出を検討中。日本企業の移転が進む地域として注目している。また、VIP輸送や警護付き運転(タクティカルドライビング)にも挑戦したいと語る。


「ISHI Limousineはコロナ禍でも生き残った数少ない会社。その歴史を大切にし、次の世代へと成長させたい」JCCNC(北加日本商工会議所)との連携も強化し、地域のネットワーク構築と日系企業支援への意欲を見せている。


信頼の輪を広げて

エド氏は、長年培ってきた文化理解とドライビングスキルを武器に、ISHI Limousineを通じて人と地域をつなぐ「架け橋」となりながら、次の時代へと歩みを進めている。


そしてエド氏は最後にこう付け加えた。

「今後はJCCNC(北加日本商工会議所)とももっと積極的に関わっていきたい。地域の一員として、より多くのネットワークを築き、日系企業やコミュニティを支える活動に参加したいと思っています。」

安心・安全・快適な移動を通じて、日系社会を支え続ける姿勢こそが、エド氏の変わらぬ原動力だ。



©2020 by Japanese Chamber of Commerce of Northern California. 

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