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2025 March / April Edition

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Mar / Apr

広報委員会

田中義昭さんにインタビュー

SB Telecom America Corp.

CEO

田中 義昭

SB Telecom America Corp.(以下STA) のCEOで、JCCNCの理事としても活躍中の田中義昭さんに、広報委員会がインタビューを行った。

 

·       ミッションとビジョンについて

テクノロジーとビジネスの最先端を行くアメリカに拠点を構えることで、ソフトバンク株式会社(以下ソフトバンク)の「Beyond Carrier」及び「Beyond Japan」戦略の推進に貢献することがミッション。グローバルなイノベーションの架け橋となり、ソフトバンクのグローバル展開を加速させるリーダーシップを発揮するというのがビジョン。

ミッションとビジョンを実現するために、事業部門においてはアメリカという世界最大のマーケットに対して、Digital Marketing、AI、Securityのサービスを提供している。

また、STAはソフトバンクの海外拠点の中で、唯一ビジネス開発部門を置いている。具体的には、アメリカでのビジネスやテクノロジーの動向を的確に掴み、ソフトバンクに最新・最先端の情報、戦略的示唆、協業の機会を共有し、新しいビジネスを共に検討することが他の海外拠点にはない特性。

 

·       ソフトバンク本社との連携の頻度・方法は?

毎月2回はオンラインで、四半期に1回は対面で行っている。それ以外にもソフトバンク本社の事業部門、技術部門がアメリカに出張で来た際やカンファレンスで一緒に行動する時は、その目的に応じた情報提供、協業提案を行っている。

また、月1回程度の頻度で、アメリカ発のビジネスや技術の動向や参加カンファレンスのレポートを本社関連部門のキーパーソンに送っている。通称「シリコンバレーレポート」と呼び、日本側がまだ気づいていないオポチュニティーを提案することもある。

特に、ソフトバンク全体で推進しているAIの動向については、業界問わず、幅広く探索をしている。

 

·       様々な業界を見ていくのは大変ではないか?

大変だが、シリコンバレーでビジネス開発を行う面白さでもある。AIの活用を幅広く業界に目を向けてみると、効率化やコスト削減にとどまらず、各産業においてAIがあらたな価値を創出していことが明らかになる。

例えば、小売業ではAIによる需要予測や在庫最適化という効率化という事例ばかりでなく、AIエージェントと対話しながら、ユーザーの気分や目的に合わせて、商品を提案する。まるで、一緒に買い物をする友人のような体験を創出している。

AIの活用であらたな価値創造をしている例として、私が好きな事例はスポーツ。データをAIで分析して、選手の起用や試合の作戦を立てる、各選手のデータをユーザーに提供して、自分がチームの監督になったつもりでスポーツを観戦する。また、スタジアムに行かずに、家庭や人が集まる施設でAIが最適なアングルやリプレイをリアルタイムに提供、AIが個々の観客の視線や好みに応じて映像をカスタマイズする。こうした事例が、今まさに次々とアメリカで生まれている。

STAには、こうした事例をいち早くソフトバンク本社に共有し、新たなビジネスの提案が求められている。

 

·       情報収集の工夫は?

アメリカで次々と革新的な事例が実現されているので、それを実現しているスタートアップから直接話を聞き、カンファレンスに参加し、エキスパートとディスカッションをする。更に、実際に自分たちでも体験するという、アメリカに拠点を置く「地の利」を生かして、生の情報を収集する事を心掛けている。

 

·       キャリアの歩みについて

自動車メーカーで日本市場のマーケティングを10年ほど担当。その後、通信の自由化やインターネットの普及を見て、国際通信の会社にキャリアを変えた。これが通信業界での私のキャリアの始まり。

 

·       転職のきっかけは?

インターネットの普及を見て、これからは通信の時代だと感じたことが大きなきっかけ。直観的にここだと思い、キャリアを変える決断をした。

 

·       その後のキャリアは?

国際通信の新電電である日本国際通信(ITJ、当時)が国内通信の日本テレコム(当時)と経営統合し、コンシューマー向けのマーケティングを担当。その後、各固定通信会社や自動車会社などによる移動通信事業への出資が始まり、当時日本テレコムの子会社であったJ-フォン関西に経営企画として出向。地域ごとに分かれていたJ-フォン地域会社の統合作業を行い、その後イギリスのボーダフォン・グループがJ-フォンを買収、経営企画から経営戦略、マーケティング戦略、商品戦略を担当し、ソフトバンク(現ソフトバンクグループ株式会社)がボーダフォン日本法人を買収して現在に至る。

 

·       通信業界での情熱の理由は?

 固定通信では電話からデータへ、物理インフラからクラウド型ネットワークへ。移動通信では2Gから5Gまで全てを経験。通信は、個人で欠かせない存在ばかりでなく、社会インフラとして欠かせないものになっている。通信業界は世の中をどんどん変えていく最先端の業界、固定からモバイルへ、インターネットからAIへと、世の中をダイナミックに変えていく産業。今でもワクワクしながら、時代を切り開くという自負を持って仕事をしている。常に進化する最先端の技術に触れ、それを理解し新たなビジネスを創出していく。非常に刺激的な業界である。

 

·       リーダーシップスタイルと経営哲学は?

私のリーダーシップスタイルは、ソフトバンクの「ソフトバンクバリュー」に基づいている。これはソフトバンクで働く全社員が共通の行動指針として持つもので、私自身も大切にしている。ソフトバンクバリューには「ナンバーワン」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」の5つがある。特に「逆算」と「スピード」にこだわっている。

「逆算」とは、ゴールを決めて、そこから逆算して今何をすべきかを考えること。例えば、登る山を決めて、そこから逆算して麓から頂上までどれくらいかかるかを計算するようなもの。社員にも、ゴールを見据えて、今何をすべきかを考えるように日々サポートをしている。

「スピード」は、仕事を迅速に進めること。1週間後の100%より、3日後の70%を目指し、確認し、修正していく。シリコンバレーでは、「Fail Fast, Fail Cheap」ということがよく言われる。日本語で言うと、「早いうちに、安いうちに失敗しろ」。これは、まさにソフトバンクバリューの「スピード」と同じ考えだ。社員と一緒に、スピードが価値ということを常に意識して日々の仕事に取り組んでいる。

 

·       スピードを重視する工夫は?

明確な目標とタイムライン設定。例えば、資料を作る際には、最初にその資料の目的、アウトラインを明確にする。途中のマイルストーンと最終期日のタイムラインを決めて、コミュニケーションをしながら、進捗を確認していく。方向の変更があれば、早めに修正をしていく。

 

·       プライベートでの趣味や興味は何ですか?

まずはゴルフ。以前は年に数回程度だったが、コロナの最中に本格的に始めた。ゴルフはネットワーキングに非常に良いスポーツだと感じた。4時間から5時間、一緒に歩きながら世間話やビジネスにつながる話をしたり、プレーを通じてその人の性格が見えてきたりする。

次に音楽。学生の頃はバンドでベースを弾いていた。幼少期から高校生の頃は、イギリスのロックやポップスに憧れ、ビートルズやレッド・ツェッペリン、フー、イエス、ELPなど、UK発のロック、ポップスに影響を受けた。今でもイギリスに行くと、自然に自分の頭の中に音楽が流れ、懐かしさを感じる。大学に入るとアメリカのロックやポップスも聴くようになり、在日米軍向けのラジオFEN(今のAFN)でアメリカの音楽も楽しんでいた。特に週末はAmerican Top 40をよく聞いていた。今は聞く専門でバンド活動をしていないが、時間ができたらまたやりたい。

スポーツエンターテインメント観戦も好き。アメリカの4大スポーツやサッカー、カレッジスポーツ、PGAツアーなどをテレビや会場で観戦。音楽ライブにも時間があればよく出かける。音楽もスポーツも会場の雰囲気が素晴らしいのがアメリカの魅力である。

旅行も好き。知らない土地に行って、好奇心を持って何かを体験するのが楽しい。若い頃はバックパッカーとして旅をしていた。影響を受けたのは小田実の「何でも見てやろう」や沢木耕太郎の「深夜特急」という旅行体験記。学生時代から社会人初期まで、格安航空券とバックパック、宿は現地に行って決めるというスタイルの旅をすることが多かった。

最近はバーチャル旅行も楽しんでいる。例えば、モロッコに行くつもりで風景や美味しいものを調べて、地図に説明を入れて楽しんでいる。家族で旅行する時はツアーリーダーになり、Googleマップでルートを計画する。旅行の中で一番楽しいのは準備をしている時で、見知らぬ土地を妄想している時かもしれない。

 

·       JCCNCに望むことは何ですか?

アメリカにある日本の企業の目標は、いかにアメリカで存在感を示しつつ価値を発揮し、所属する企業の発展に貢献することだと思う。そのために、在米日本企業のつながり、地域貢献、ときには政策提言を行っているJCCNCの存在は益々、重要であると思っている。

(聞き手:広報委員会)
















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