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2025 July/August Edition
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広報委員会
異文化の架け橋として、日系企業を支える
シリコンバレー不動産 代表取締役社長 James Robinson氏インタビュー
ベイエリアで活動する日系企業や駐在員にとって、安心して暮らし、働ける環境の整備は事業成功の鍵となる。そんなニーズに応えるのが、シリコンバレー不動産。単なる物件仲介にとどまらず、生活支援や文化的な橋渡しまで担う存在として、地域に根ざしたサービスを展開している。
今回は、同社代表であり、JCCNC(北加日本商工会議所)でも理事として活躍するJames Robinson氏に、会社のビジョン、キャリアの背景、そして仕事への情熱について話を聞いた。

日系企業の成功を支える3つの柱

シリコンバレー不動産が提供するサービスは、法人向けの「SV Workplace」、駐在員向けの「SV Life Start」、短期滞在者向けの「SV Stay」の3本柱。
「SV Workplace」では、オフィス物件の仲介だけでなく、企業の成長戦略に沿ったコンサルティングも行う。
「SV Life Start」は、赴任直後の駐在員が直面する生活の立ち上げを支援。住宅探しから公共インフラの手配、各種登録の支援まで、きめ細かく対応する。
「SV Stay」は、短期滞在者に“自宅のように過ごせる安心感”を提供するサービスで、家具付き物件や生活必需品の手配なども含まれる。
ビジョンは「寄り添う不動産」
シリコンバレー不動産の活動の根底には、「日系企業の成功を支える」という強い使命感がある。企業経費の中でも大きな割合を占める不動産関連費用に着目し、コスト効率と安心感の両立を目指す。
James氏は、日本企業のニーズを深く理解し、日々のミッションとして掲げている。
「私たちのビジョン・ステートメントは、“日系企業の海外事業と人に寄り添う賃貸ソリューション・プロバイダー”であること。単なる物件の仲介ではなく、企業やご家族が安心できる環境をご用意することを大切にしています。」
日本との出会いが人生を変えた

James氏の日本との関わりは、1989年の関西外国語大学への交換留学から始まった。当時、日本はバブル経済の真っ只中。アメリカの自動車産業が苦境に立たされる中、日本企業の強さに魅力を感じたという。
「日本語が話せれば、どこへでも行ける、何でもできる。」
その環境に触れ、日本語の習得に本気で取り組むようになった。大学卒業後は英会話講師として日本で働き、阪神淡路大震災では神戸で被災。見知らぬ人々から助けられた経験が、彼の人生観と仕事観に深く影響を与えた。
「自分は日本語もできない、どう見ても外国人。でも、皆さんが親切に助けてくれました。あのときの “恩”は、今でも心に残っていますし、今の仕事の原点にもなっています。」
ITから不動産へ、感謝される仕事を求めて
その後、IT業界でのキャリアを経て、不動産業界へ転身した背景には、「人に直接感謝される仕事がしたい」という想いがあった。
「以前はコンピュータ同士をつなぐ仕事をしていました。でも、どこか達成感が感じられなかった。“誰かの役に立った” という実感が、あまりなかったんです。」
サンフランシスコへの転勤時、自身の住宅探しに苦労した経験が転機となり、2004年に起業。
当初は何でも屋のように幅広く対応していたが、やがて日系企業・駐在員向けに特化したスタイルへとシフト。震災時に受けた“恩”を、仕事を通じて返したいという気持ちが、事業の根底にある。
「教育」と「共感」を軸にした経営哲学
James氏のリーダーシップは、社員教育と共感力に支えられている。稲盛和夫氏の経営哲学を参考に、
「何のために仕事をするのか」を社員と共有することを重視。
自身の引っ越し経験から、駐在員やその家族が抱える不安を理解し、物件紹介だけでなく、生活全般に寄り添う姿勢を貫いている。
「会社の都合で決められた期間や予算の中で、見知らぬ土地に引っ越してくるのは本当に大変なことです。だからこそ、不動産の紹介だけで終わらず、お客様の“困っている”に、とことん付き合うのが私たちの役目です。」
趣味は森づくり、自然との対話
オハイオ州に所有する東京ドーム9割ほどの広さの土地で、これまでに3,000本以上の木を植えてきた。日本の森林再生を提唱した宮脇昭氏の手法を取り入れ、多様な植物を育てることで、自然の回復力を活かした森づくりを進めている。
「利益にはならないが、こうしたものは残る。自分がいなくなっても木は生き続ける。」
その姿勢には、仕事や人生への深い哲学が垣間見える。

奥様との出会い、そしてJCCNCとのつながり
東京でIT関連の仕事をしていた頃、レコード会社勤務の奥様・愛(Ai)氏と出会い、結婚後にサンフランシスコへ移住。現在ではビジネスパートナーとしても協力し合い、会社の成長を支えている。
JCCNCとの出会いも大きな転機。行事へのボランティア参加を通じて多くの人と知り合い、信頼関係を築いてきた。

信頼と誠実さが築く未来
James氏が大切にしているのは、「誠実さ」と「信頼」。
物件情報の正確性を守り、顧客の期待に応える姿勢が、シリコンバレー不動産のブランドを支えている。
信頼関係を大切にしながら、人とのつながりを少しずつ築いてきた。その歩みは、今も家族と地域に支えられながら続いている。
誠の心を胸に。ジェームス氏と愛氏。
根を張り、枝を広げるように。
自然への恩返し。持続可能な未来に貢献。
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