JCCNC NEWS

◆自己紹介◆

皆様初めまして。総領事館に農林水産省から出向中の小林と申します。昨年３月に着任しました。今回、寄稿の機会をいただきましたので、私のバックグラウンドや当地での活動について簡単に紹介させていただきます。

私は、農業農村工学という区分で農水省に入省し、当地に赴任する前は、農業用ダム・水路などのかんがい施設や農地の整備、防災・減災対策等を行う公共事業に携わってきました。本省での勤務が大半でしたが、徳島県にも２年半赴任し、約5,200haの農地に水を届ける総延長63.5kmの農業用水路建設を行う国営事業に携わりました。あまり農水省に土木工事のイメージはないかもしれませんが、日本の食料生産を支えるためにこういう仕事もあるのだと知っていただけますと嬉しいです。

この場を借りて農水省関係でもう一つ紹介させていただきますと、農水省は日本初の官僚系YouTuberとして、2020年から「BUZZ MAFF」というチャンネルを運営しています。「農林水産省あるある」や「大臣にアフレコしてみた」など、官公庁とは思えない本当のYouTuberみたいな動画を出していますが、れっきとした農水省の公式チャンネルです（もちろん、これとは別に真面目なチャンネルもあります。）。農林水産業や農水省・国家公務員の業務に親しみを持っていただくきっかけになればと思い、あわせて紹介させていただきました。

BUZZ MAFFチャンネル（画像クリックでチャンネルページにとべます。）

◆総領事館での業務◆

総領事館では、農業・食品産業に関わる様々な業務に携わらせていただいていますが、その中から主なものを３つ紹介させていただきます。

１つ目は、サクラメント・バレーにおけるコメの生産動向の調査です。日本国内でコメの価格が高騰し、一気にカリフォルニア州産米への関心も高まっていますが、それに関わらず、コメについてはWTO協定により最低限の輸入機会を提供する必要があり（ミニマム・アクセス米：年77万トン）、この枠組みにより毎年約30万トンのカリフォルニア州産米が関税なしで輸入されています。ミニマム・アクセス米は、国産米に極力影響を与えないよう国が一元的に輸入して販売しており、円滑な買入れのために、作柄や価格動向等の調査を行っています。なお、いずれ日本に帰国される駐在員の方々にとっては、日本でのコメの価格高騰は他人事ではないかと思います。最近、冒頭に紹介したBUZZ MAFFで、コメを巡る動向を説明する動画が掲載され始めましたので、関心のある方はご覧ください。

２つ目は日本産農林水産物・食品の輸出促進に向けた活動です。人口減少等により国内市場が縮小する中、日本の農業・食品産業を維持していくためには海外市場の獲得が不可欠ということで、輸出促進は重要な政策の一つとなっています。このため、ＪＣＣＮＣの飲食関係会員企業の皆様などにもご協力いただきながら、領事館が行うレセプションの機会などを活用して、日本食や日本酒・焼酎等の魅力を発信しています。また、日本から米国への輸出が円滑に行われるよう、通関や動植物検疫に係るトラブル対応・情報提供なども適宜行っています。

３つ目は、アグリ・フードテックに係る情報収集や企業支援です。テックの中心地であるベイエリアですが、アグリ・フードテックの分野においても活発なエコシステムが存在します。このため、いずれ本誌面にも登場するであろう経済産業省から出向している領事とともに、当地におけるアグリ・フードテック分野の日本企業の動きを後押しするべく活動しており、今年の３月には日米企業の連携促進に向けたイベントを開催、５月にはＪＣＣＮＣの関係会員企業等の皆様とのサクラメント周辺アグリ・フードテック関係施設ツアー（https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7334002376153931777）を行いました。

飛行機による水稲の種まきの様子（＠サクラメント・バレー）

日本酒・焼酎PRの様子

◆終わりに◆

最後にプライベートについて、せっかくの米国駐在の機会なので、長期休暇時にはロードトリップを楽しんでいます。先日、グランド・サークルを周遊し、その壮大さに圧倒されてきました。また、イチ農業土木技術者としてかんがい施設にはやはり興味があり、世界最大級の貯水量を誇るフーバーダム、その上流に位置するグレンキャニオンダムも見学してきました。今後どこかで皆様とお会いする機会があれば、おすすめの国立公園、ダムなど、是非教えてください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

グランド・キャニオン国立公園にて